2011年5月3日火曜日

株価は足踏み継続へ、米企業決算でサプライズなければ上値重い

 [東京 9日 ロイター] 来週の東京株式市場で日経平均は足踏み継続となる見通し。景気回復期待が下値を支えるものの、米企業決算発表でサプライズがなければ、株価はある程度の業績回復を織り込んでいるため材料出尽くしとなる可能性がある。
 米株が調整すれば日本の輸出株の上値は重くなり、引き続き内需系セクターが循環物色の対象になりそうだという。また様子見商状が強まり商いが細れば先物売買で振らされる場面もあると予想されている。
 日経平均の予想レンジは1万0900円―1万1400円。
 <日経平均の週足、バブル崩壊後最長の連続高とはならず> 
 日経平均の週足は前週比マイナスとなりバブル崩壊後最長になる9週連続プラスとはならなかった。過去20年間で8週連続プラスとなった2005年8月─9月と95年11月─96年1月はその後、それぞれ3週間と10週間のもみあい商状に入った。相場が過去の焼き直しになるとは限らないが、市場では「米株も急ピッチの上昇で過熱感があることから日米ともに一服商状が続く」(準大手証券トレーダー)との見方が多い。
 静寂を破る可能性があるとすれば 本格的に始まる米企業の1─3月期決算発表だが、コンセンサス程度の増益では材料出尽くしの動きになる可能性があるという。
 12日の米アルミニウム大手アルコア<AA.N>に始まり、13日に米半導体大手インテル<INTC.O>、14日に米銀大手JPモルガン?チェース<JPM.N>、15日は米半導体大手アドバンスト?マイクロ?デバイス(AMD)<AMD.N>に米インターネット検索大手のグーグル<GOOG.O>と「大物」が続くが、インテルやAMDの株価は年初来高値圏にある。
 大和証券キャピタルマーケッツ金融証券研究所?投資戦略部部長の高橋和宏氏は「足もとの業績回復はすでに織り込んでいる。先行きの明るい見通しやコスト改善が進んで増益ペースが期待できるといったサプライズがなければ材料出尽くしになりやすいタイミングだ。米株が調整すれば日本の輸出株も上値が重くなる」と述べている。
 <内需セクターの循環物色が継続>
 自動車やハイテクといった日米で先行していた外需セクター伸び悩めば、小売りや金融などの内需セクターを循環物色する動きが続く見通しだ。8日に発表された2月機械受注は非製造業が弱く内需回復の鈍さをうかがわせたが、それでも時間をかけて堅調な外需がいずれ波及するとの見方が多い。
 三井住友アセットマネジメント?チーフエコノミストの宅森昭吉氏は「消費者のマインドは政府のデフレ宣言の影響もあって前年12月に過去最悪水準まで落ち込んだが、生産や輸出の持ち直しや雇用の下げ止まりで回復途上にある。エコポイントに加え、今後は子供手当てや高校授業料の実質無償化など政策の後押し継続が期待できるため消費回復傾向は続くだろう」と述べている。
 米国では14日に米住宅ローン?借換え申請指数、3月米小売売上高、3月米消費者物価指数、3月米実質所得と内需を意識させるマクロ指標の発表が控えている。
 ただ、市場では「海外勢は輸出株など優良株売りの一方、小売りや鉄鋼株買いといったリバランスの動きを続けている」(準大手証券トレーダー)との声がある一方、「リバランスの動きはそれほど大きくない」(外資系証券トレーダー)との指摘もある。海外勢のリバランスの動きが広がる前にいったん調整局面を迎える可能性もある。
 一方、循環物色が一巡し薄商いとなる場面では先物売買が相場を振らす要因となる可能性もある。市場では「3月第5週の投資主体別売買動向では先物を合わせると外国人よりも信託銀行の買い越し幅が大きかった。背後にいる顧客が債券とのリバランスを進めているとの見方があり、今月も続く可能性がある」(国内証券)との声が出ていた。
 <15日に第1?四半期中国GDP発表>
 米国の主要マクロ指標では、13日に2月米貿易収支、14日に米住宅ローン?借換え申請指数、3月米小売売上高、3月米消費者物価指数、3月米実質所得、2月米企業在庫、米地区連銀経済報告、15日は米新規失業保険申請件数、4月NY州製造業業況指数、2月対米証券投資、3月米鉱工業生産、4月米住宅建設業者指数、4月米フィラデルフィア地区連銀業況指数、16日は3月米住宅着工件数や4月米ミシガン大消費者信頼感指数速報値が発表される。
 また15日は第1?四半期中国GDPと3月中国主要統計も発表される。「強い結果で中国株が上昇すれば日本株にもポジティブだが、金融引き締め懸念が強まればネガティブになる可能性もある」(大和証券キャピタルマーケッツの高橋氏)という。人民元が切り上げられれば円高が進む可能性があるため注目される。
 このほか、EU経済?金融問題評議会が15日から18日まで開かれるほか、BRICsサミットがブラジリアで15日─16日の予定で開催される。
 (ロイター日本語ニュース 伊賀 大記記者)

【関連記事】
? 米ウォルマート、約1万品目を値下げする方針=報道
? 米景気回復の勢い増している=米行政管理予算局長
? 金融の安定が経済成長のカギ=米FRB議長
? 米プライマリーディーラー、年内利上げの確率は平均62%
? 3月の米小売各社の売上高は過去最高の伸び

引用元:arad rmt

0 件のコメント:

コメントを投稿